印刷会社の価値とは

会議で営業は新規獲得に行くと言いながら、実態は行っていない理由を毎日考えるようになると、次第に「この人たちは新規営業に行っても相手にされないから行きたくないのだ」ということがわかり始める。ということは営業の新規活動は一体どんなものなのか、そもそも印刷会社とはどんな立場なのだろうと思い始めた。

そんな私が当時の印刷会社の立場を実感したあるエピソードがある。A印刷に入った当初、S社という家具メーカーへの営業に同行訪問した時のことである。アポイントの時間になっても先方が全く出てこず、ずっと待たされたことがあった。そして遅れて出てきた相手方の社長は私に向かっていきなり、「そこのデカイ印刷屋、この荷物を運んでくれ!」と荒々しい口調で言ってきた。クリエイターとしてのプライドがあった私は、「なんでそんな仕事を頼まれないといけないのか!」と聞こえないふりをしていたら、「聞こえんのか!」とまた一喝された。腹を立てた私は、「ぼくは印刷屋ではない!」と言ったところ、同行していた営業の先輩から「アホかお前、謝れ!」と叱られたのである。

そんなやりとりに「こんなのやってられへん。」となったのだが、その時、なぜ印刷会社は「印刷屋」と呼ばれるのかと考えた。広告代理店は広告代理店屋とは言われ ないし、デザイン会社はデザイン屋と言われない。そこから印刷業界の社会的地位の低さを実感した。正直かなり低いと失望した。だから営業もぺこぺこ頭を下げて仕事をもらわないといけないのだった。

会議では行くと言いながら新規営業に出ない営業マンの意味がようやく分かった。結局、営業に行ってもお客さんに頭を押さえられながら仕事をもらうしかない。「なんか印刷ありませんか?」「そろそろなくなりませんか?」「うちにデザインさせてもらえませんか?」そんなスタイルだから新規がとれないのだ。本当に昔ながらの古い体質が抜けきっていないと確信した。
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