日本初、印刷パッケージの誕生

提案が一蹴された後も営業会議で同じ会話が繰り返されるために、とうとう社長が「お前ら営業はダメだ。原田君、この前提案してきた内容をやるんやったらどんなやり方があるのか?」と意見を求めてこられた。そこで会社案内シリーズをつくった経緯を説明した。

アップルのアップル2というパソコンとクオークという組版のソフトを買って、これからは必ずDTPの時代がくると予感していたことや、広告代理店にいる当時から世の中の流れを探るために業界紙を読んでいたこと。その中で印刷営業はセールスという手法とデジタル処理のDTPが融合することで劇的に変わると確信を持ったことを話すと、社長は即決で商品開発とセールスにGoサインを出してくれた。

社長の後ろ楯を得た私は、改めて世の中の会社案内について調べてみようと思い、サンプルとして全国から200社ほどの会社案内を集めた。それらを全て調べていくうちに、「会社案内には3つのタイプしかない」という結論が見出された。一つは、事業が多角化している会社に多い事業別会社案内。次に、エンドユーザーに向けた商品にユニークさがあるところは商品別会社案内。最後に、製造工程を見せる事で技術を前提に提供する製造工程別会社案内。大きくこの3種類にしかないという結論に行き着いたのである。

さらに200社の会社案内を見ると、8ページで写真点数12点という割り付けが一番多いと言うことも分かった。そこで思いついたのがDTPを活用して文字と写真を入れればすぐに会社案内が出来上がるテンプレート開発である。当時はイラストレーターが輸入されたばかりで、まだ横文字しか描けなかったために制作スタッフのほとんどが「これは何百万もするオモチャだ、使い物にならない」と鼻で笑っていた。なにしろ10年以上キャリアがあるデザイナーが、ロットリングでコンマ1mmの線を右から左に引けるという技術を自慢する時代だったから。しかし、DTPを見た私は、クオークでドラッグ&ドロップするだけで新人でもそんな線はあっさりと引けると知り「この人たちの技術は終わった。今までのデザイナーという人にセンスは残っても作業は全部なくなる」と思ったものだ。

それを具体化したものが「パネオ」という商品で、A4の8ページ・写真12点で1000部制作して55万円という金額を決めて売り出した。DTPをもっと普及させようと開発したこの日本初のパッケージ商品。生まれ持ったマーケティング思考で、これはいける!と自らのアイデアに成功の確信を得た。
▲ トップへ戻る