Story 04 目次

Chapter 03:ライバルに打ち勝て

福山からスプリット・ラン・テストの指南をうけてから数日、
大竹はすぐにテストに着手してデータ収集と分析を進めていた。
しかし、プロジェクト開始から間もなく、新たな問題が発生する。

・・・そうですか。大竹さんはやりましたね。
ことある毎に大竹さんの才能を妬んだ上司である課長が
彼のアイデアをもみ消していたというのもこれでクリアですね。

しかし、数千人の従業員を抱える大手企業の専務である貴方から
「若手の才能を開花させてやりたい」
と連絡を頂いた時は驚きましたよ。
・・・はい、それではまた何かあれば連絡をください。

それからしばらくして、大竹から福山に電話が入った。

福山さん、先日は色々とありがとうございました。
おかげで商品開発プロジェクトの新たな活動がスタートしました。

それはおめでとうございます。
開発の進捗はいかがですか?

はい、早速スプリット・ラン・テストを実施しています。

セオリー通り進めていますか?

はい、プロトタイプが出来上がった段階で広告の切口を変え、
インターネット上に掲載して反響を見たり、
幾つかの商品を比較して消費者の生の声を聞いたり、
たくさんのデータが収集できました。

分析の方はいかがですか?

クラウドマネージメント協会から紹介された
分析スタッフの方に協力をしていただき、とても感謝しています。

そうですか。それは良かったです。

しかし・・・新たな問題が出てきました。

おや、一体どんな問題でしょう。

それが・・・どこから漏れたのか、
商品を世に出す前に競合会社にサーチされ、
その会社も同じような開発を始めたという情報が入ってきました。

それは心配されたでしょう。

ええ。課長から厳しく言及され、
もし他社に先に類似商品を出されることになったら
責任を取れと言われたのです。

大変でしたね。
しかし、インターネットは公開された世界ですから、
競合他社に知られてしまうのは致し方ないことです。

えっ、そんなものなのですか?

ええ。だた、これから開発を始めるのと、
すでにプロトタイプができているのとでは
最終商品を世に出せる時期は大きく異なります。
ここからのスピードを如何に上げていくかが重要です。

具体的に商品のスペックやプライスなどを決める
工程に入っているのですが
その判断基準となる情報をいかに早く、正しく収集するか、
思案しています。
何か良い知恵を授けていただけませんでしょうか。

それにはやはりスプリット・ラン・テストの
第二弾を行うしかないですね。

といいますと?

第二弾では、これまでの第一弾で固まった
商品の方向性(=コンセプト)や広告センテンスなどから
最終商品を開発します。
その商品を容器、容量、価格などを変えて実際に販売をしてみるのです。

実際に販売して、そこでスプリット・ラン・テストを行うのですね。

その通り。
その際のポイントが「クローズドプロモーション」です。

クローズド?隠すということですか?

「このホームページを見つけてくれたあなただけに先行販売!
お手元に届いた後でレビューを書くと抽選で素敵な景品が当たります!」
といった表現を用いるのです。

そういうことか。

インターネット広告を特定のターゲットに絞って配信して、
その中からレビューを集めていくので「クローズド」というわけです。

このスピードで進めれば、仮にどこからか情報が漏れても
全く問題ないですね。

そうです。
ビジネスにおける最高の戦略は〈スピード〉です。
インターネットに精通すれば、素早い対応が可能になります。

確かにそうですね!

第二弾のテストでは購入意志の確認ができ、
その上でレビューを通して使用感などをヒアリングできるので
最終商品の要素はすべて整います。

長電話ですみませんでした。
早速、第二弾のテストを検討していきます!

いつもながら行動が早いですね。

思い立ったらすぐ行動しないと落ち着かなくて・・・。
インターネットを武器に、競合会社に追いつかれないよう
スピードを上げてがんばります。
本当にありがとうございます!

クローズドプロモーション

一部のターゲットに限定しプロモーションを行なうこと。
本文のクローズドとはネット広告をターゲットだけに絞り告知し集めていくことに由来している。

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