厳蔵さん、大和くん、昨日は色々とありがとうございました。
あれからアイデアをまとめて知人に伝えたところ、
是非そのプランを進めて欲しいと言われましてね。
今日は、その件のご相談で来ました。

プランを進めて欲しいと言われた・・・。
ちなみに、その知人と言うのはどなたですか？

ここの市長です。

市長ですか！
市長も納得したプランであれば、予算もつくのでしょうな。

いいえ、市からの予算は全く考えていません。

なんと・・・。

私は公的予算を前提にするがために、
このような町おこしプランがいつも頓挫するのだと思います。
今回のプランの予算はすべて村の人達で生み出して頂きます。

市からの予算なし、全て村のみんなで予算を生み出す・・・。
そのようなことができるのでしょうか？

普通に考えれば難しいことですが、インターネットを活用すれば実現可能なのです。
厳蔵さん、大和くん、クラウドファンディングという仕組みを知っていますか？

クラウド・・・・？

クラウドとは、インターネットを介した全く知らない人たちのことを指します。
ファンディングはそのままの訳で、資金調達のことです。

全く知らない人たちからの資金調達？

その通り。
現在、自分が歌手としてCDを出したい、
個展を開きたいなど芸術家の卵で夢を持った人たちは、
インターネットを通じて知人ではない人たちから支援金を募り、
その夢を実現させています。

へえー。

そして、投資者には見返りとして、
金額に応じて心ばかりのプレゼントをするという仕組みがあります。

見ず知らずの人に投資するのですか？

そうです。
投資額は1,000円、3,000円という少額ですので、
比較的気軽に投資できます。

ふむ・・・。

また、クラウドファンディングサイトを通して投資することで、
その人の可能性などを査定できることや、希望額に到達しない場合は
全額返金されるなど、色々なセーフティラインもあります。

なるほど。
今までの投資のイメージとは全く違いますね。

クラウドファンディングは世界で注目されており、
市場もかなり大きなものになってきています。
今回は、このクラウドファンディングを活用し、
農業従事者を募り資金も集めようと考えています。
名付けて『ファームファンディング』。

すごい計画ですね！
でも、本当にこの村に、みんなが農業をやるために来てくれるのかな・・・・。

それは、環境の整え方次第ですよ。

環境の整え方とは一体・・・？

住む場所は古民家を無償提供し、
苗や肥料、農機具などの購入はファームファンディングで集める。
更に村の人が無償で農業ノウハウを伝授するようにするのです。

でも、投資してくれた人に何かプレゼントしないといけないし、
その次の年の資金も集めないといけないですよね・・・。

大和くん、なかなかするどいですね。
君が言うように、投資をしてくれた人には必ず見返りとして
何かをあげないといけないですね。

うまくいくんでしょうか？

この見返りを農産物にすると、その次の年の資金を稼ぐには、
投資者へプレゼントしたもの以外の農作物を販売しないといけません。
その収益で苗や肥料、農機具などの資金を賄うことができます。

なるほど！

さて、ここからが大切なところですが、
このファームファンディングのホームページは私の会社で制作するとして、
誰が運用するかという問題がでてきます。
消費者からの問い合わせにも対応しなくてはなりません。
誰か適任者はいませんか？

村の人でインターネットが分かる人ですか・・・。

いえ、この村に住む人でなくても全く問題ありません。
例えば、大和くんでも十分に対応することができます。

えっ、ぼくが！？

ネットさえ繋がっていれば、
どこにいても対応できるのがインターネットなのです。

しかし、大和は未成年者ですから難しいでしょう。

確かに大和くんが全てを対応するのは難しいです。
ですが、大和くんが運用管理の操作を行い、
判断はすべて厳蔵さんが行うのであれば問題ありませんよね。

私が判断し、大和が操作をするということですね。

その通り。
今はLINEなどを活用すれば無料電話ができるので、
すぐに回答を得ることもできますし。

らいん・・・？

そのあたりは、後ほどじっくりとご説明します。
どうしても村の人の中に適任者がいない場合は、
遠隔でもできるということを覚えておいてください。
まず、厳蔵さんには村の代表者と関係者を集めて、
説明会を開いて頂くことが先決です。