Story 04 目次

Chapter 06:既存勢力との攻防

源蔵たちは、農作物を販売するために通販サイトを立ち上げた。
インターネットでの直接販売を始めて6ヶ月が経つ頃、源蔵から相談があると連絡が入る。
福山は再び村を訪れることになった。

わざわざお越しいただきありがとうございます。
折り入ってご相談したいことがありまして・・・。

一体どうなさったのでしょう。

実は、このファームファンディングの成功が広まるに従って
同じような商売を始める会社が急増してきました。

そうでしたか。

それらの会社は限界集落の活性化には全く関係なく、
単に農地を小分けして権利を販売し、
そこで収穫された農作物の◯%を提供すると言うものです。
しかも価格が安く、この村での新規投資契約も殆ど進まなくなってきました。

成功すれば真似をする人がでてくるのは、当然のことです。
致し方ないですね。

致し方ないって・・・。
若者をどんどん移住させて、スタート段階の費用は投資で賄っても、
その後の販売ができなければ継続できなくなってしまいます。

もちろん、価格競争に負けて販売ができなければ、
どのようなビジネスも継続はできません。

そうでしょうな。

ただ、人は価格だけで買うわけではないのです。
工夫さえすれば幾らでも勝機はあります。

では、その工夫とはどのようにすればいいのですか?

前回、市場や卸業者が農作物を受け付けてくれなかった時に
通販サイトを立ち上げて直接消費者へ販売するということをしましたね。

はい。

その通販サイトからの利益を確保する工夫をするのです。
ターゲットを絞り込み、その人が好む商品に特化した通販サイトにするのです。

具体的には・・・?

調べてみましょうか。

ネットの世界は、すべての情報が公開されていると思って頂いて間違いありません。
どのような商品や言葉の検索ボリュームが多いのかを見ることで、
市場の規模、消費者のニーズが予測できます。

すごい世界ですね・・・。

検索ボリュームの多い言葉をよく見ながら、
それらは何を探そうとしている言葉なのかを想定すれば、
おのずとターゲットが絞られてきます。

こうやって市場を予測して売り方を考えるのですか。

データを見ると、オーガニックや無農薬関連の検索ボリュームが多いですが、
実際に検索してみると・・・競合の広告が多く、激戦区です。

そのようですね。

他の言葉であれば・・・・「温野菜」が多く検索されていますね。
温野菜サラダなどの関連した言葉も検索ボリュームが多いようです。

温野菜ですか・・・。
そのような言葉で我々のサイトに訪れているとは、全く想像もしていませんでした。

ここはひとつ、「温野菜専門の野菜」というキャッチフレーズで
やってみるのはいかがでしょうか?

温野菜専門の野菜・・・面白いですね。
さっそく、温野菜に向いた野菜の栽培に力をいれて販売の準備をします。

あと、温野菜と温野菜特選ドレッシングも開発して一緒に販売しましょう。
そうすれば野菜だけの価格比較ではなくなりますのでね。
ドレッシングの開発は知人のシェフに依頼してみます。

何から何まで面倒を見ていただき本当にありがとうございます。
よろしくお願いします。

▲ ページトップへ


Story 一覧