Story 04 目次

Chapter 05:意識を変える・流通を変える

福山のアドバイスにより移住希望者は予定通り30名に絞りこまれた。
ファームファンディングサイトに移住希望者のページを個別に作成し、
自分のプロフィール紹介と何を育てようとしているか、更には日々の状況をブログで書き続けてもらった。
一般の投資者も多くの数が集まり始め、その状況を見て村への移住も徐々に進んでいった。

そして、更に3ヶ月が経過した。

これだけの若者がこの地で農業に携わっている姿は圧巻ですね。

福山さん、本当にありがとうございます。
村が賑やかになり、お年寄りも元気になった気がします。

そして、皆さん笑顔で楽しそうに働かれているのが何よりです。

インターネットというものはすごいものですね。
私たちの知る世界とは全く違うルールがあるのですから。

そうですね。
これまでの固定観念に捕われていては、これからの商売は厳しくなるでしょうね。

ただ、少し問題が出てきました。
実は、今の商売関係先との軋轢といいますか、嫌がらせがありまして・・・・。

具体的にどのようなことをされているのですか?

農作物の出荷が始まっているのですが、
当然、投資者さんへ送る分以上に収穫ができなければ生産者の収益になりませんので、
半数以上は売る商品となります。

そうですね。

これまでは特定の市場や業者へ卸していたのですが、
自分のところへ卸す前に消費者へ直接送っているのは納得できない、
余り物の処分を引き受けるのは御免だと言ってきました。

やはりそうですか。

やはりって・・・福山さんは初めからこうなることを分かっていたのですか!?

はい。
日本はこれまで古い商習慣やルールのもとに商売が成り立っており、
それはとても良いことではありますが、
これだけ流通方法が変わってきた今となっては
大きな足かせとなっていると感じています。

確かに我々も、最初は大きな変化に口々に不安を述べていました。

そうですね。
至るところで今回と同じような問題が生じているので予想はしていました。

では、この問題はどのように解決すればよいのですか。

それは、やはりインターネットで直接消費者へ売るのが最善ですね。

確かに、インターネットでの販売は良いかもしれませんが、
移住者の中には少し変わった輸入野菜ばかりを育てている人もいます。
正直、一般の消費者が買ってくれるか心配です。

特殊な野菜であればあるほど、
すぐに買い手を探すことができるのがインターネットです。

ほう・・・。

例えば、イタリアン野菜であればイタリア料理屋さんへ
買ってもらうと言うようなことですね。

しかし、そんなに都合よくイタリア料理人を探せるものですか?

厳蔵さん、イタリア料理のシェフは日頃どんな情報を
インターネットで探していると思いますか?

どんな情報・・・イタリア料理の新メニューとか、
繁盛しているお店の情報とかでしょうか。

その通りです。
インターネットでは検索をして情報を集めますので、
「イタリア料理 メニュー」や「イタリア料理店 繁盛」などのキーワードで
検索するはずです。

なるほど。

その際に、検索結果の画面に表示される広告で告知をするのです。

そのような広告があるのですか・・・知りませんでした。
インターネットは絞りこまれた特定の人を探すことができるのですね。

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