Story 04 目次

Chapter 04:リサーチ&セールスで一石二鳥

大竹はその後、第二弾のスプリット・ラン・テストを外部スタッフの協力を得て開始する。
当然、情報漏洩には細心の注意を払いながら。

緻密なインターネット広告の配信計画により、テスト開始から1週間で1000名を超える
購入者が出たほか、商品のレビュー数も500を超える上々の結果となった。
容器、スペック、価格などを組み合わせて9タイプで告知をしたところ、
結果的に半数を超える購入者が選んだタイプが特定でき、レビューも
その他のタイプよりも記入率も高いという結果に驚かされた。
やはり適正価格で購入した人の満足感が一番高いということなのだと、
関係者一同納得することとなった。

福山に、専務から電話が入った。

前回に続き好結果でなによりです。
・・・そうですか、情報を漏洩したのは課長でしたか。
メールの記録で発覚したのですね。

課長は余程大竹くんのことが気に入らないと見えますが、
何かあったのですか?

・・・あぁ、大竹くんは創業家のご子息なのですね。
それを現社長一派が排除したいと考えて、課長に画策させたということですか。
古い組織は難しいことが多いですね。
・・・はい。また、何かあれば連絡ください。

それからも何度か大竹から福山に電話があり、福山はその都度的確なアドバイスを授けた。
初めて出会って2ヶ月が経過したある日、いつものカフェで久しぶりに二人は再会する。            

この度はご指導いただき本当にありがとうございました。
これまでの商品開発プロジェクトに比べ、
開発期間を3分の1に短縮することができました。

それは良かったです。

先週から本格的なマス広告を展開し始めたのですが、
その結果も過去にないほど滑り出しが好調です。
スプリット・ラン・テストは当社の大きな武器になりました。

大竹くんの理解力が高いからこそ短い期間でできたのだと思います。
スピードに勝る戦略なし、ですからね。

とんでもない。
私は福山さんのご指導に沿って進めただけですよ。

そんなに謙遜することはありません。

福山さんにはマーケティング手法だけに限らず、
経営戦略も多くを学ばせて頂きました。本当に感謝しています。
ただ道はこれからですので、もっと学んでいきたいと思っています。

それはいい心掛けですね。
お若いのですから、まだまだたくさん吸収できますよ。

そう言っていただけると嬉しいです。
図々しいのは承知で、一つ質問をさせて頂きたいのですが・・・。

おや、またですか?
本当に素早い方ですね。お手柔らかにお願いしますよ。

実はインターネットを活用してわかってきたのですが、
商品開発に以下に注力しても、当社が行っている販売促進の
やり方そのものを変えなくては結局売れないような気がするのです。

なぜそう思われるのでしょう。

一律的なテレビCMや店頭販促は年々効果が落ちてきていると
販促部の同期が言っていまして・・・。

しかし、販促部でもインターネット広告は行っているのでしょう。

Yahooなどへのバナー広告は広告代理店に依頼をしているようですが、
その広告代理店もあまり詳しくないようで・・・。
十分に活用できていない気がするのです。
部門が違うのであまり強硬な進言はできませんが・・・。
彼らが理解でき、販売促進に結びつく良い方法は無いのでしょうか。

なかなか難しい質問ですが、良い方法がありますよ。
例えば商品開発を兼ねた形でのキャンペーンを開催するなどが効果的です。

詳しく教えて頂けますか?

「これから新たな商品を開発したいので意見を投稿してください」
というようなキャンペーンを開催するのです。
名付けて〈あなたのアイデア買取りますキャンペーン〉。

消費者にどんな商品が欲しいかリサーチするのですね。

それだけではありません。
その際に今回販売を始めた商品をPRし、参加者全員にこの新商品を10個をプレゼント、
という形で行えばリサーチ&セールスが実現できます。

なるほど!

さらに新商品が完成したら同様のキャンペーン告知を行い、
ウェブサイトに誘導していきます。
そうすることで新製品の告知と次のリサーチ材料も手に入り、
商品開発部から販促部へ打診し協力し合いながら展開もできます。

さすがですね。
新製品の告知とアイデア募集によるリサーチも行なう・・・
更にすべてインターネット経由にしていくから
分析のためのデータも蓄積できるというわけですね。

そうです。
インターネットは単にメールを送ったり、
ホームページを閲覧したりする道具ではありません。
その用途を考えれば、過去にない成果を生み出す魔法の杖になるのです。
これを機会に是非インターネットに精通してください。

はい!

その後も何度か福山は大竹へのアドバイスをした。
そして2年が経過した頃、大竹が課長に昇進したという話が、福山の元に届いた。

スプリットランテストを活用

1, スプリットランテストは単なるテストではなく広告でもある
2, スプリットランを行なう際に重要なことはターゲットなどの明確化にある
3, 商品開発の鍵はスピードが握っている

Story 03:売上低迷にスプリットランテスト戦略 ー終ー

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