Story 01 目次

Chapter 01:プロローグ

主人公の青年三原(ミハラ)の実家は、靴を販売する店舗を経営していた。
しかし事業が厳しい状況の中、父親が突然の他界。
止む無く店舗を運営する会社を引き継ぐことになった三原だった。
しかし、店の売上はどんどん低迷。新しくネット販売を考えて着手するが、
それも経費過多になってしまい途方に暮れていた。
ある日、「もうすべてを止めてしまおう・・・」と公園で投げやりになっていた時、
福山(フクヤマ)と言う中年紳士と出会う。
不思議な雰囲気を持つその男性からアドバイスをもらいながら、
三原はインターネットでのビジネスを本格化していくのだった。

そこのあなた、何か悩んでいることでもあるのですか?
お節介だとは思ったのですが、
今にもその池に飛び込みそうな顔をしているので気になりましてね。

えっ!?そんな風に見えますか・・・。
実は親父が突然病死してしまい急遽私が事業を引き継ぐことになりまして。

それはお気の毒に。
どんな事業をしておられるのかな?

靴屋を何店舗か経営しています。
でも、例に漏れずネットや大型店に客を取られて、
収益がどんどん悪化するばかりで・・・。

そうですか。
商売はなかなか難しいものですよね。

アドバイスを全くもらえないまま、今日まで手探りでがんばってきました。
ネット通販にも挑戦しましたが、上手くいかなくて・・・

なるほど、それで思い詰めた顔をね。

もうどうして良いのか・・・。

一つ聞いてみたいのですが、あなたは靴が好きですか?

好きかって聞かれると・・・
特別好きではないですね。

それでは難しいでしょうね。

え!?どういう意味ですか?

デフレ・スパイラルが進行していく社会では、商品はどこで買っても同じ。
そうなれば、やはりいちばん安価なお店やネットで買うものですよね。

それはそうですが・・・。

そうなると、売る側も自分の商品が好きでなければなりません。
そして専門性などを徹底的に伝えていかなければ、
ファンの獲得はなかなか難しい時代です。

うぅ・・・痛いところを突いてくるなあ。

初対面で大変失礼ですが、靴が好きでないのなら、
そもそも事業を変えた方が良いのではないかと思いますよ。

ですけど、親から引き継いだ事業だし・・・。
そんな簡単には行きませんよ!

では、好きな種類の靴はありますか?

うーん。
靴全体ではないけど、ワークブーツ系は好きで、
かなりの知識を持っている自信はあります。

あなたはペルソナ戦略という言葉を知っていますか?

いいえ・・・。

ペルソナ戦略とは、自社の商品やサービスを好んでくれる人を
より細かく事前想定し、その人たちが満足すると思われる情報や品揃えを
徹底的に充足していくことを言います。

へえー。

君がもしワークブーツが好きで、
知識は誰にも負けないという自信があるのなら、
まずはワークブーツの品揃えを充足してはどうでしょう?

なるほど!
このまま行けば倒産は免れませんから、
アドバイス通りがんばってみます。

ペルソナ戦略

年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成、性格、ライフスタイル、価値観、趣味嗜好、消費行動、情報収集行動などのデータを含めて、あたかも実在するかかのうように設定される人物像が「ペルソナ」である。詳細に設定したペルソナを代表的な顧客プロフィールとして企業内で共有し、マーケティング方針を統一することを「ペルソナ戦略」と呼ぶ。

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