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Chapter 02:絞り込め!

福山からのアドバイスを元に、三原は複数ある店舗のうち
1店舗をワークブーツ専門店に変え、
同時にインターネット通販サイトも立ち上げた。
しかし、専門店もネット通販サイトも急激な売上獲得とはならなかった。
途方にくれた三原は、自然と福山に出会ったあの公園へ向かっていた。

また会いましたね。
その後、事業は上手くいっていますか?

アドバイス通り、ワークブーツ専門店にリニューアルしたし、
ワークブーツのネット通販サイトも立ち上げました。

なかなか行動力がありますね。

でも、なかなか売上は上がりません。
将来、この事業で会社全体を引っ張れるほど
売上が上がるイメージは持てなくて・・・。

そうですか・・・。
ちなみに、その新しい店舗やネット通販サイトに
お客さんを誘導するための対策は何かしていますか?

いいえ。
今は広告予算がなかなか取れないので、
特になにもできていません・・・。

当たり前ですが、最初は集客をする
対策を行わないと売上は上がりませんよね。
かと言って、予算の関係があるのも分かります。

・・・・・・。

まず、インターネットでの対策に集中して展開を始めてはどうでしょう?

そう言われても、かけられる予算は少ないですよ?

費用は大丈夫。
インターネットでは、費用をかけられない場合は
時間をかけることでリカバーしていくものなのです。

時間でリカバー??

では今日から、オウンドメディア戦略の徹底化を図っていきましょう。

オウンドメディア???

そう、オウンドメディア。
オウンドメディアとは、消費者にとってあると助かる便利な情報を徹底的に配信して、
その会社独自の「メディア」を作るという意味です。

なんだか大きな話だ・・・。

インターネットの世界にはもう一つ、
フリーミアムという重要な戦略があります。

わぁ・・・また横文字が・・・。

いきなり商品を買ってもらうおうとするのではなく、
まずは無料で有益な情報やサービスを提供することで
ファンになってもらい、そのファンとの関係性を円滑にした上で
初めて商品を購入してもらうのです。

フリーミアムねぇ・・・。

例えば、Googleの検索がすべて無料だったり、
LINEの活用がすべて無料だったりするのは、
みんなフリーミアム戦略に則っているのです。

でも、僕にはLINEみたいな仕組みを作ることはできないし、
そんな予算もありませんよ!

まあまあ、そんなに焦らないでください。

こっちは切羽詰まってるんですから!

簡単です。
有益な情報をブログ形式で、
毎日少しずつ提供していくことから始めるのです。

ブログで?

そうです。
靴全般であれば相当な知識が必要ですが、ワークブーツだけに特化すれば
比較的に簡単に深い情報を配信することもできるはずです。

確かに。
ワークブーツのことだけならできるかも。

この絞り込みをキュレート戦略と言います。

キュ、キュレー??

キュレート戦略。
中小企業のネット正攻法は、
何かにテーマを絞り込んだ情報を無料で配信することです。

へえー。
さっそく今日からワークブーツに絞り込んで、
ネット通販サイトで徹底的に情報配信をしてみます!

あなたは納得するとすぐに行動できますね。
よい感じです。

折角なので教えて下さい。
インターネットで商品を販売する際に、他に重要なことはありませんか?

インターネットでの販売には弊害もあります。
買い手側がすぐに価格比較が行えるということです。

確かに。
僕もネットで買い物をするときは価格比較サイトを必ず見ます。

だから、商品を掲載して価格を公開するだけでは、
結局一番安価な店でしか売れないと言うことになります。

でも利益も出さないといけないので、
安売りばかりは無理ですが・・・。

その通り。
だから大切なのは、対象になる人が商品を買いたくなる
ストーリーとリアリティなのです。

なるほど!
そういうことか!!

つまり、ワークブーツの薀蓄(うんちく)、素材などの解説、
更には洋服やバッグなどとのコーディネイト提案が不可欠となってきます。

説得力が生まれそうですね。

簡単に言えば、自分がそのワークブーツを履いた状態を
イメージできる写真や文章の演出が不可欠ということです。

結構手間がかかりそうですね・・・。
でも、言われた通りがんばってみます!

オウンドメディア

顧客とのダイレクトの関係性を築くために、顧客とってあると助かる便利な情報を徹底的に配信する独自のメディア。自社のウェブサイト、ECサイト、パンフレット、メールマガジンなどの情報配信媒体もこれに含まれる。

フリーミアム

「フリー(無料)」+「プレミアム(割増料金)」の造語。基本的な機能やサービスを無料で提供して広く顧客を集め、その上で何割かの顧客に高度な機能や特別な機能を有料で利用してもらう仕組みのビジネスモデル。

キュレート戦略

収集・整理した情報やコンテンツのまとまりに、新たな価値や意味付けをして共有する戦略。博物館・美術館で所蔵品の収集・配置等、展示に関わる責任者(キュレーター)が語源。

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