Story 01 目次

Chapter 05:最大のピンチ

「本物が分かるお客さまに買っていただければ良い」という
一貫した姿勢が功を奏して、三原のネット通販サイトの売上は回復。
新たな成長路線を進むこととなった。
一時は頭を悩ませたマイナスの書き込みも、福山の言った通り善意の人たちから
「自分たちはそんなことは感じていない、とても満足している」
という書き込みが増え、いつの間にか終息状態になった。
しかしデジタルブラック社から再び魔の手が伸び、
「サジェスト機能」によってマイナスイメージを植え付ける問題が発生してきた。

最近また売上が低迷してきている・・・。
サイト分析もしっかり行っているのに、何が原因なんだろう・・・。

すると、社員から報告があった。
三原が運営する通販サイト名を検索エンジンで検索すると、
サイト名に続いてネガティブなワードがズラリと表示されると言うのだ。
実際に検索をしてみると、サイト名の後に「クレーム」「不満」「嘘」などの
ネガティブワードが組み合わされて表示されていた。

三原もサジェスト機能のことは知っていたが、
またもやデジタルブラック社からの嫌がらせかと頭を悩ませていた。

おや? 前回に引き続き暗い顔をされて。
上手くいかないことでも?

参ってるんです。
今度は サジェスト機能 で表示されるワードが
すべてネガティブワードになってしまって。

店舗名を検索すると名前の後に「クレーム」や「不満」と表示されると?

その通りです・・・。
きっとデジタルブラック社の企みだと思いますが、
何の対策も打てないままで・・・。
徐々にですが売上が低迷し始めているんです。

それはまた困りましたね。
でもこの件も前回の書き込みと同じで、
時間が経てば改善されるはずですが。

今はそんなに待っていることはできません!

いつになく急いでいますね。

そりゃそうですよ!!
ネットでの売上を拡大するために、ワークブーツ専門サイトの他に
ハイヒール専門サイト、外反母趾用靴の専用サイトをオープンしています。
キュレート戦略で多角化して品揃えを増やしてきました。
だから時間が経てば経つほど、キャッシュ・フローが厳しくなります!

まあまあ、そう怒らないでください。
サジェスト機能を改善する専用会社を紹介してあげましょう。

そんな会社があるんですか!?

ええ、この会社なら大丈夫です。
中には悪徳業者もいて、追加料金の請求を何度もしてくる会社もあるので
気をつけてくださいね。

三原はすぐさま福山から紹介された専門会社にサジェスト機能の対策依頼を行った。
改善策が施され、サジェスト機能のマイナスワード表示はみるみるうちに淘汰された。

このまま順調に進むかに思えた矢先、またもデジタルブラック社が立ちはだかった。
三原と同じような靴のキュレートサイトを多数立ち上げ、
メイン商品を半額で販売するなどの対策に打って出てきたのだった。
すると、三原のネット通販売上は過去に経験の無いほど下落。
会社の経営そのものが厳しくなっていき、今度こそ最大のピンチを迎えたのだった。

サジェスト機能

サジェスト=示唆するという意味。ウェブ検索の補助機能で、検索窓にワードを入力するとそのワードに続く候補が自動的に表示される機能。

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